京都デニムと日本の伝統色|杜若色(かきつばたいろ)

衣に摺り付けますらをの着襲(きそ)ひ狩する月は来にけり  万葉集 大伴家持
(勇気のあるりっぱな男達がかきつばたで摺染した狩りの衣服を着て、山野で薬草を採る行事をするその日がいよいよやってきたなあ)
美しい新緑の中、お花たちがいっそう輝き出す季節がやってきました。
今月は初夏の水辺を彩る、杜若についてご紹介します。

特集:コラム 杜若(かきつばた) ーアヤメ科 花言葉:幸運・雄弁

杜若はアヤメ科の植物で、和歌にも詠まれているように元来は染料として用いられていました。書付花(かきつけはな)からかきつばたに変化したといわれています。
生け花では杜若のみで葉の美しさを見せる生けかたが発展し、
絵画や着物のモチーフとしても多く使われ、文化人たちにも愛されていたようです。
お花の美しさはもちろんですが、葉も含めた全体の洗練された形状に魅了された人は多かったのではないでしょうか。
中でも有名なものは、尾形光琳の「燕子花図屏風(かきつばたずびょうぶ)」です。
この作品は伊勢物語の「東下り」の段をモチーフとしています。
在原業平がかきつばたの頭文字をとって詠った以下の和歌もよく知られていますね。
唐衣/きつつなれにし/つましあれば/はるばるきぬる/旅をしぞ思ふ
(着慣れた着物のように親しく思う妻が都にいるのに、私はこんな遠くまで来てしまった)
五月から六月の中ごろにかけて、アヤメ→杜若→花菖蒲と次々とアヤメ科のお花が咲き始めます。
一見似ている三種ですが、簡単な見分け方のポイントは以下の通りです。
●花びらの基には・・・・アヤメ・網目模様 杜若・白い模様 花菖蒲・黄色い模様
●自生する場所は・・・・アヤメ・乾いた土 杜若・水中   花菖蒲・湿地
山科の観修寺では杜若、平安神宮では花菖蒲、
深泥が池では黄菖蒲がこれから見ごろを迎えます。
日本人の心に受け継がれる美をぜひ感じてみてください。